人生は過去からの夢の実現過程だった

平成23年11月27日

  • 時代は混迷している。何が正しくて、何が正しくないのかわからなくなっている。バブルを経て成熟社会となるとこうなるのだったろうか。スッタニパータには、毒矢に倒れた人がいて、矢は何処から飛んできたのかあるいは毒の成分は何であるかなどと詮索する前になすべきことはその矢を抜くことであるとある。何故時代が混迷したかは、後で明らかとなるだろう。今、なすべきことは何だろうか。正しい規準を見つけることだった。ある本を読んでいると、大人とはいつまでも学校時代をひきづらないことであり、子育ての大事業に取り組むのは自分が楽に生きることができるようになってからであるといったことが書いてあった(主婦の友社刊、司馬理英子著『ADHD これで子どもが変わる』、p177,171)。
  • いつか楽に生きることができるようになる。子ども時代はそのための試練の時である。人生を客観的に見ることができるようになれば、悩んでいる子どもたちに対する視線が変わる。今、悩んでいるな。それでいいのである。いつか解決する。長い時を要することもある。一生かかる場合もあるだろう。あるいは来世を必要としているのかもしれない。人生は過去からの夢の実現過程である。何時か幸せに辿りつく。それは過去を払拭してからだった。そのために生まれている。何が正しいのだろうか。正義は常に相対的だった。故に戦争もある。しかし日本は敗戦を以って戦争の無価値を学んだ。高い代償を支払った。子どもたちの夢は今、殺戮なくして平和を勝ち取ることである。市民革命も名誉革命を通っている。野蛮な時代は終わった。これより取り組むべきは、馬鹿になることが幸せだとか不倫は文化であるなどとする愚かな時代の克服となった。仏になれると善いね。なれるよ。仏となれば、一切大衆をわが子と見る慈父となる。500年間傑出白隠禅師曰く、隻手の音を聞けば何をしても善い、聞かない裡は何をしても駄目だ。人間の思い上がり及び勘違いに対する警鐘だね。
  • ところで、『坂の上の雲』が話題となっている。勝てるはずのないバルチック艦隊に勝った。そうだろうか。日本は勝つべくして勝っていたのではないだろうか。バルチック艦隊はヨーロッパからはるばる日本海にやってきた。日本はアメリカの大富豪から借金して最新鋭の戦艦を買っていた。そして何よりも重要な要素がある。時代の流れである。1917年にロシア革命があった。ロシアは内部的に疲弊していた。戦争どころではなかった。明治を美化する傾向に、この歴史的観点が見られないのはある意味で危険であるのかもしれない。
  • 【鈴木大拙:信仰の確立】存在の理由に徹して信仰を確立した人は、自分がいつもこの世界の中心となり主人公となる。(中略)自分の存在はいつも宇宙の中心となっていることを自覚したからである。事実は事実としても、自覚がないと、その事実が死んだ事実となってしまう。これが妙である。自覚にそんな力があるとも思えぬが、あるから妙ではないか。こうなってくると、天地開闢以前の神の心地が自分の心地になると言うても、さして誇張の言葉とも思えぬ。