四諦(十六行相)[岩波仏教小辞典より]
声聞に対して説かれ、八億の諸天が来下して菩提心を起こした。この四種の真理を観察確認するあり方(行相)がある。各真理に対して、四種の観点を立てて十六とする。
Ⅰ苦諦
- 非常(無常) あらゆる事物は条件に依存する
- 苦 あらゆる事物は苦しめるものである
- 空 あらゆる事物は自己に属するものではない
- 非我(無我) 常住普遍の内なる主宰者(我)はない
Ⅱ集諦
- 因 欲求は苦の主要な原因
- 集 直接原因として苦を現前させる
- 生 苦を継続させる
- 縁 条件を整えて苦を成立させる
Ⅲ滅諦
- 滅 個人存在の五蘊(ごうん)が終息に至る
- 静 欲望の焔を吹き消す
- 妙 あらゆる困苦から離れている
- 離 あらゆる災厄から解放されている
Ⅳ道諦
- 道 滅に導く
- 如 道理に適っている
- 行 正しく涅槃を完成させる
- 出 完全に生死を超出させる
十力 佛に特有な10種の智力
- 処非処智力……道理と非道理とを弁別する力
- 業異熟智力……それぞれの業とその果報を知る力
- 静慮解脱等持等至智力……諸々の禅定を知る力
- 根上下智力……衆生の機根の優劣を知る力
- 種々勝解智力……衆生の種々の望みを知る力
- 種々界智力……衆生の種々の本性を知る力
- 遍趣行智力……衆生が地獄や人天、涅槃など種々に赴く事になるその行因を知る力
- 宿住随念智力……自他の過去世を思い起こす力
- 死生智力……衆生がこの世で死に、業とその果報が相続して、かの世に生まれることを知る力
- 漏尽智力……煩悩を断じた境地とそこに到る方途を知る力
六念の法
仏法に不可欠の三要素である、佛と教法(法)と教団(僧)の三宝と、浄い戒、布施、そして未来に生まれる「天=神」との六種のことを憶念すること。
- 神通力は、力勢であり、守護又は恩恵を与える力。
- 神通遊戯は、神通の慰み。
- 神変とは、奇跡的な前兆。
- 神力とは、超自然力。行為の力。
(平楽寺書店刊『訓読妙法蓮華経并開結』の字解より)