笑顔が善いね
2011-12-03
- 小学校四年生の頃だった。何時もある子にからかわれていた。ものを投げつけられたりしていた。いじめられていた。何もかも嫌だった。何時かその子を追い掛け回すようになった。悪い子になっていた。頭の中は真っ白でその子を追いかけることしかなかった。クラスのみんなにも、先生にも迷惑をかけていた。いつか評判の悪い子になっていた。問題児である。勉強などできなかった。授業中は何も考えていなかった。空白の時間が過ぎていく。その子は中学で私立学校に進学した。その子からの脅威はなくなっていた。しかし失われた自分があった。家庭では親が善い子になれという。親がそれなりのことをしていないように思われた。親に対して暴言を吐いていた。親も壊れてしまった。今となっては申し訳ないと思っている。中学に入って出席時間が足りなくなっていた。不登校になっていた。基礎ができていないから、基礎の応用である学力は低かった。ますます学校へ行かなくなっている。ある高校の機械科に進学できたら善いと思っている。そして知り合いの会社に入って資格を取って二十歳の頃には自立できたら善いと思っている。この話は担任の先生にもしていない。私は静かに彼の話を聴いていた。そして言った。君は大丈夫だよ。辛かったね。悲しいね。しかし君は一足先に大人になったね。将来の夢も明確に描いている。何よりやさしいまなざしがある。笑顔が善いね。涙が流れた。
子どもたちの暗黒世界
2011-12-03
- 大人の知らない子どもたちの暗黒の世界がある。そこで何が起きているのだろうか。表層は楽しそうである。しかし子どもたちは解決方法を知らないままに苦しんでいた。それを知らない大人たちがいた。どうしてもそれをしてしまう。それを別に悪いと思わない。発覚して頭ごなしに叱られる。そうすることにも理由はあった。叱られてその理由を表現できない。不条理である。そして敢えて説明しようとしない。どうしてだろうね。或る少年は言った。説明してもわかって貰えないと思ったから。理由がある。大人はそれに気づけない。存在の悲しみがある。救うべき時である。