不思議
2012-03-10
『思考は現実化する』というのは、ナポレオン・ヒル氏の著作だった。それは、鉄鋼王アンドリュー・カーネギー氏の最大の遺産としての教育が原点だった。それって、何だったのだろうね。マスターマインドというのがそれだった。高度な人格の要素だったのである。手紙の効用がある。それは想いのすべてを込めて書く。その時、脳波が宇宙に共鳴する。その時、何が起きるのだったろうか。法華経では「すべて自分の中で起きる」とするそれだった。禅における廓然無聖もそれだった。ソクラテスが「汝自身を知れ」と言うのもそれだったのである。鬼太郎のお化けのポストもそれだった。故に、かつての彼の彼女たちは不思議を感じていた。あるいは、知っていた。ある日ある教授が言った。「君は大金持ちではないか」。また、彼は言った。「常に私がNo1でした」。その人は言った。「わかるような気がする」。しかし、彼は埋没した。それが試練だった。修行だった。何時か気づく。その日が来る。彼の邪魔をしない方が善い。生れた時からそうだった。彼自身知らなかった。どういうことだろうね。一休髑髏ご用心。父は言った。「お前は大丈夫だ。私の子だ。私もそうだった」。これが本来大和魂だった。失われて久しい。戦後は殊の外困難だった。無理もない。それが敗戦ということだった。随分と苦労したね。だけど、君は守り抜いたのだった。ありがとう。父はカムチャッカに赴任した。復員は網走だった。刑事でもしていたらしい。家にはケンパスと絹の紐で出来た新品のパラシュートと海軍の毛布があった。定かではないが、予科練の教官もしたと言っていた。故に父の教育はスパルタだった。父の名は昭亮(あきのり)、昭和2年3月7日に生まれ、平成元年5月22日に没した。昭和時代そのものだった。父は何者だったのだろうね。雷を見せてくれたのは父だった。風を教えてくれたのも父だった。本来日本の秘密に属する。螺鈿の槍は錆びてはいない。勝手したね。取り戻す頃となった。気づいているだろうか。既に始まっている。彼は言う。今度こそ大丈夫である。