C・ウィルソン著『宗教と反抗人』より

  • 仏陀もまた人間は自己の道徳的福祉に関しては唯自分一人が責任を持つと考え、さらに彼仏陀を神託として受け取るな、唯、己自身の道を見出すための先達として仏陀を利用せよと警告している。
  • 人間にまつわる最も重大な事実は自己を変える能力である。アウトサイダーとは、おのが自身の複雑性と、彼を条件付け、彼の同一性を歪めようとする文明とに対する支配力を獲得しようと悪戦苦闘する人である。
  • 人間は天使と同様に神のあらゆる能力、神の七つの霊全てから造られたものなり。しかしながら人間は現在腐敗せるがゆえに神的なる働きは常にその力を開示せず、人間のうちに活動することもない。それは人間のうちに湧き起こり、仮に照り輝くことがあろうとも、腐敗せる性質には不可知のものなり。
  • 人生は戦いだ。絶えまない精神的戦闘である。
  • アウトサイダーは尨大な精神的努力によって神秘家へと成長する。これは自己の人生を戦闘状態と化せしめ、戦闘に必要な頭脳の緊張を保って生きることによって為される。神秘家とは高度の知識と活力を持つ人間にすぎない。
  • おのが自身の直接の洞察によって証明したものでなければ何ものをも認容しない。
  • 詩人は誰でも人間の真価は当人の感情的体験の深さによって決められるということを知っている。自分自身と次には世界とに対する支配力を人間に本当に与えてくれるのは自分自身に対する深い洞察に他ならぬ。
  • アウトサイダーは神の存在を認めた。その神とは人間のうち自然のうちに作用している或る力であり、意識をもった如何なる個人の目的より大きな或る目的である。
  • 脳の活動は心臓の鼓動や血液の動きとではなく呼吸と調子を合わせたものである。
  • 真理とはそれを把握している人間の精神的強烈さなのだ。
  • 宗教は到達点ではなく途上の休憩所にすぎない。
  • 精神は神による物質の完全な征服をめざして苦闘する。
  • 神々と英雄の行動はある不変の法則によって予め決定されている。
  • 如何にしたら自分のために精神的力を獲得できるか。社会の背後にあって社会を動かす力となるべく勤めること。他人の中で一つの力となることによって他人のために力を獲得してやること。
  • アウトサイダーは時節が到来したならば自分の象牙の塔から出てゆかねばならない。その時機が熟するのは自己に対する精神の支配力を勝ち得たときである。
  • 真理は主体性なのであり、従って自己に集中することによって真理は達成される。
  • 文明はその死活問題として宗教を必要としている。人間の能力が人間の宗教に勝るようになったとき文明は崩壊する。
  • 何事かを為そうとする意志は、それがどうしても必要であるという確信によってもたらされた或る強烈度に達すれば、その何事かを為すための新しい組織を作り出し編み出すものなのである。
  • 自分一個の人格よりも大きな何ものかによって駆り立てられている人。
  • 真の宗教とはあらゆる人間のための標準として、詩人や賢者の最も深遠な洞察を認めることに他ならぬ。
  • どんな夢でもそれを真実と信ずるほど強い人達の手にかかれば意志でそれを創造に変えることができる。
  • 人間は神の意志を表現するかぎりにおいて偉大となるのであり、そうすることこそ生における永遠の把握行為なのである。
  • 全てのものは崩れまた築かれる。また築く者は朗らかなり。